紙パック

会社員時代、男性化粧品の広告を担当した。 

商品が、顔のパック。CMの前に、雑誌広告で、先行。

透明で、当時は塗るのが普通。

塗った状態は、まるで、ゾンビで、見られたものじゃない。

乾くと、メリメリとはがすのである。(毛穴の汚れも、ごっそり取れる)


タレントは、内容にもっとも厳しいYM(今は亡き伝説の俳優)。

案の定、“塗らない”と言う。 化粧品会社は、“塗って欲しい” と言う。


説得のため、一人で、大阪から 東京に向かった。

新幹線の車中、アイデアが閃いた。 「いける!・・ かも 


東京は下北沢、隠れ家的なお寿司屋のカウンターで、YMも 一人だった。


僕は、アイデアを、彼に説明した。


はがしたパックを、まるでセミの抜け殻の標本のようにピンで留め、

横にテカテカの顔の彼が立つ! コピー、「パックにて、清肌 」


「面白い!」 と、YM 。


その時の、お寿司が、なんと 美味しかった ことか ・・・


もちろん、化粧品会社からも、大いに 感謝 された