ヒデマロ友人



ビジネス街でやっていた20席の

カレー専門店に較べ、

大学で始めた100席のイタリアンカフェは

想定外のことも多かった。

若い厨房スタッフの逃亡も、

そのひとつだ。


 

なんと、200人にピザを提供する

イベント当日に、

怖じ気づいて逃げたのだった。

それも、三人まとめて・・

 

途方に暮れる僕らの前に現れたのは、

本宮さんの飲み友達、ジョイナーだった。

「会社、辞めてきたよ。

やっぱ、OLは、私に向いてないわ。」

彼女の助けもあって、

200人のイベントは事なきを得た。

 

当然、ジョイナーは、その日から

カフェの正スタッフになった。

そして今は、シェフ兼店長として、

大車輪の活躍だ。

 

あの若い厨房スタッフたちが

逃げてくれたことを、

今となっては、むしろ感謝している。